ドレスシューズに革命をもたらしたブランド、『コールハーン』を知っていますか?
アメリカのシカゴで1928年に誕生した『コールハーン』。そのブランド名は創業者の靴職人、トラフトン・コール氏とエディ・ハーン氏から取ったものです。コンセプトは、“モダン・アーチザン”。職人的な技術とモダンな要素を組み合わせた紳士用ドレスシューズのブランドとしてスタートしました。1950年代にはアイビーやプレッピーといったアメリカントラッドスタイルの代表的なブランドとして人気が上昇。その後メンズシューズの分野において確固たる地位を築き、女性用や子供用の靴も支持を高めていきます。
1982年に小売り部門を設立してからは世界中にショップを展開。そして、1988年には『ナイキ』の完全子会社となりました。ナイキ エアの技術をソールに取り入れたり、月面を歩いているかのような感覚のルナロンを採用したりすることで、アメリカントラッドな面持ちと先端技術の融合を押し進め、新たなファンを獲得。また、シューズ以外も展開するトータルでグローバルなブランドとして発展していきます。
さらに2012年には世界屈指の投資会社、エイバックス・パートナーズの傘下となることが発表されました。単なる名門にとどまらない、その時々の時代に即した革新的な進化はこれからも続いていくに違いありません。コールハーンはアメリカントラッドの代表
現在は靴やサンダルだけでなく、バッグ、財布、サングラスやベルトなどのアクセサリー類もラインナップに追加しており、トータルファッションブランドとしての地位を確立しています。
コールハーンの人気と「アイビー・ルック」
コールハーンが現在の地位を築くことができた背景には、「アイビー・ルック」というファッションスタイルの存在があります。代表的なモデルのひとつに「ペニーローファー」が挙げられますが、このペニーローファーという言葉を生み出したのが、アイビー・ルックを身に付けていた若者たちでした。アイビー・ルックとは、1950年代~60年代、アメリカの名門大学に通う若者たちの間で流行したファッションのことです。いわゆる「ロック」や「ストリート」の対になるようなスタイルで、「上品な着こなし」を指します。もちろん靴はブーツやスニーカーなどではなく、ローファーやサドルシューズ、チャッカブーツなどが好んで履かれていたようです。理由は諸説ありますが、当時の学生たちの間では、ローファーのサドルに1セントコインを挟むことがトレンドでした(1セントコインは「ペニー」と呼ばれています)。お守りのような意味があったのかもしれません。そうした流行から生まれたのが「ペニーローファー」という言葉で、そこからサドルやスリットのあるローファーをひっくるめて「ペニーローファー」と呼ぶようになったようです。そして、アイビー・ルックが流行していた当時の若者たちがこぞって履きたがった靴がコールハーンでした。
靴業界の常識を覆した、コールハーンとハイテク技術の融合
それから12年が経過した2000年、コールハーンは最先端の衝撃吸収システムとして全世界に名を知らしめていた「ナイキエア」をソールとして使用した革靴を発表しました。レザーシューズなのに疲れにくく、履きやすく、歩きやすいのが特徴です。メンズだけでなく、レディースの高機能パンプスも非常に高い人気を獲得しました。
『コールハーン』のシューズ。ほかに類を見ない3つの大きな魅力
ブランドの成長と共に、他に類を見ない独自性を獲得してきた『コールハーン』。ここでは3つのポイントにわけて、その魅力をわかりやすく解説します。
名門ならではのエレガントな面持ち
紳士靴のブランドとしてスタートした『コールハーン』。だからこそどのシューズも、クラシックで気品のあるデザインがベースとなっています。ドレスシューズはもちろんのこと、スニーカーであってもどこか品の良さを感じさせるデザインに帰結しているのは確固たる歴史や技術があるからです。
快適な履き心地をもたらす機能性
“グランド”とは、『コールハーン』によるイノベーションの総称。快適性をもたらすモダンなオペレーションシステムを「グランド.OS」と名付け、あらゆるシューズに導入しています。その基軸となるのは、可能なかぎりの空洞化やスリム化による軽量性。さらに、クッショニングに優れるエナジーフォーム、踏み出す力をサポートするトーショナルアーチ、フレックスウェルト、パディングなど各種テクノロジーも駆使して至高の履き心地を妥協なく追求し続けています。
伝統と革新の融合を感じさせる、個性的なデザイン
クラシックな面持ちと最先端のハイテク感は相反するファクター。その両者を融合しているからこそ創造されるデザインは、斬新のひと言です。アッパーはドレッシーなのにソールにより適度にカジュアルというバランスで、大人のオンからオフまで柔軟にフォローしてくれます。定番的な着こなしを足元からセンスアップしてくれるのも、重宝されている理由です。
シリーズ別にピックアップ。『コールハーン』のおすすめ14足
レザーソールのエレガントなモデルも多数用意しているものの、現在の『コールハーン』を語るうえで欠かせないのは以下の7シリーズ。それぞれの魅力を紹介しつつ、押さえておきたいおすすめのアイテムをピックアップしました。自分のライフスタイルに合ったお気に入りのモデルを見つけてみましょう。
▼シリーズ1:良く弾み履き心地も抜群の「オリジナルグランド」
歩く際の足の動きに対応するため、屈曲性に優れた軽量なアウトソールを採用。アメリカントラッドなルックスに抜群の屈曲性を結合することで、革新的なドレスシューズを生み出しています。このシリーズでは、主にオックスフォードシューズとスリッポンをラインアップ。
オリジナルグランド プレーントゥ
シンプルなプレーントゥのオックスフォードシューズです。ノーズが長いエレガントなシルエットながら、アッパーのレザーをマットな質感に仕上げることでカジュアルにも適したバランスの良い顔立ちに整えています。ホワイトのソールも軽快な印象で、オンからオフまで活躍してくれそうです。
オリジナルグランド ベネチアン
クラシックなレザーアッパーを用いた、スリッポンシューズ。”ベネチアン”手塗りを想起させる色むらが、独特の色気を感じさせます。リアルレザーのウェルトにより、ビジネスからカジュアルまで幅広く対応してくれる1足に仕上がっています。
▼シリーズ2:しなやかな履き心地の「ゼログランド」
長距離ランナーのために開発された、画期的な機能を取り込んでいる「ゼログランド」。ソールに深い溝をあしらうことで屈曲性を高めると同時に、一層軽いランニングシューズのような履き心地を実現しています。パーフォレーションの美しいブローグシューズに加え、ラギッドなモカシンやブーツも展開。
ゼログランド ウイングチップ オックスフォード
ウイングチップのフルブローグシューズですが、カラーリングで軽やかにアレンジ。さらに「グランド.OS」の機能性を採用することで、軽量かつ快適な着用感に仕上げています。溝が入ったアウトソールにも存在感があり、クラフトマンシップと革新技術の融合が見て取れます。
ゼログランド キャンプ モック ドライバー
ドライバーシューズの要素を取り入れつつ、上質なレザーで仕上げたモカシンシューズ。履き口を囲ってバンプ部分で結ぶ革のシューレースが正統派のキャンプモックスタイルであることを示しています。アウトソールのつま先&かかと部分にセットされたラバーポッドが強度とグリップ力を向上させており、履き心地も上々です。
▼シリーズ3:エネルギッシュな履き心地の「2.ゼログランド」
波打つようなモーションアウトソールが、フレキシブルな動きと優れた屈曲性をサポート。そんなソールに軽量かつ通気性も高いシームレスのアッパーを組み合わせることで、ランニングシューズに匹敵する機能性を実現しているのがこのシリーズです。多彩なオックスフォードシューズを中心に、夏にうれしいサンダルもラインアップ。
2.ゼログランド レザー ウィング オックスフォード
次世代のオックスフォードシューズとも言うべき、スポーティで先進的なルックスは圧巻。レザーカットによってウイングチップのようなラインを描き出して気品を高めつつ、通気性と軽量性も高めています。スッキリしたシルエットが放つスタイリッシュな印象も魅力的。
2.ゼログランド スティッチライト オックスフォード
アッパーにストレッチニット生地の「スティッチライト」を採用したモデル。編み柄によるウイングチップ状のデザインが上品なムードを放っています。また、蒸れ知らずの清涼な履き心地も約束。「グランド.OS」テクノロジーによって足裏にフィットするクッション性も備えています。
▼シリーズ4:軽やかな履き心地の「グランドプロ」
クオリティや快適性はキープしつつ、軽さを追求したアウトソールを採用した「グランドプロ」。靴底のつま先&かかと部分に滑り止めのラバーをレイアウトすることで、グリップ性能も強化されています。ランニングシューズやテニスシューズをデザインソースにした、見た目にもカジュアルなスニーカーが充実。
グランドプロ ランナー
モチーフにしたのはレトロなランニングシューズ。ホワイトとサンドベージュが織りなす大人っぽい配色が、スニーカーながらエレガントなムードを足元に作り上げてくれます。ルックスとは裏腹な軽量性に加え、心地良い履き心地をもたらすクッショニングも備えた才色兼備なスニーカーです。
グランドプロ スリップオン
クラシックなテニスシューズからインスピレーションを得たミニマムなデザインが特徴的。シンプルに見えても妥協することなく機能性を追求しており、屈曲性、クッショニング、そして驚きの軽さを高い次元で実現しています。
▼シリーズ5:ぜいたくな履き心地の「グランドレボリューション」
“コールハーン史上最もぜいたくな履き心地”と謳うシリーズ。伝統的な技術を駆使したクラシカルで美しい紳士靴のルックスと、「グランド.OS」がもたらす機能性を融合することで、ドレスシューズに革命をもたらしました。ホールカットやタッセルモカシンは「ワシントン」、内羽根式やモンクストラップ、ローファーは「ハミルトン」というモデル名に分かれています。
ワシントン グランド レーザー ウィング オックスフォード
パーフォレーションのようなパンチングをグラデーションで施し、ウイングチップシューズを表現したホールカットの1足。サイドからはレザーと見まがうアウトソールはドレッシーな印象で、スーツスタイルにマッチする気品ある仕上がりです。軽量性、屈曲性、クッション性、通気性なども抜群。
ハミルトン グランド キャップ オックスフォード
内羽根式の品格あるセミブローグシューズがベース。外見はいたってエレガントですが、ランニングシューズのように快適な履き心地を実現しています。いったん足を入れたら最後、ほかのドレスシューズは履けなくなるハイブリッドシューズの極みともいえる1足です。
▼シリーズ6:安定した履き心地の「グランドエボリューション」
これまでにない2層構造のソールを起用しているのが最大の特徴。トーンを変えることで、デザイン上のアクセントとしても効いています。高密度で高反発性のEVAを採用することで、歩行時の安定性を高めている点もポイントです。ウイングチップ、チャッカブーツ、ローファー、変形モンクストラップなどをラインアップ。
グランドエボリューション ショートウィング
ソールのカラーリングによってさまざまなイメージを打ち出せるのが「グランドエボリューション」ならではの魅力。このウイングチップシューズは、全14種類ものカラーバリエーションを展開しています。もちろん、衝撃吸収性などの機能も充実。
グランドエボリューション モダンモンク
モンクストラップをベルクロでモダンにアレンジしたモデル。ドレスとカジュアルのバランスが絶妙な、『コールハーン』らしい個性的な面持ちです。シューレースに比べてフィット感が調整しやすいため、履き心地は一層向上。ホワイトのミッドソールを挟んだマリンブルーの彩りが、大人の着こなしを足元から引き締めます。
▼シリーズ7:正統進化を果たした近未来顔「3.ゼログランド」
トゥからヒールにかけ、よりダイナミックなアウトソールを配した「2.ゼログランド」のアップデートモデル。新型のフィットシャーサポートシーフレームが足裏を万全の体制でケアしつつ、アッパーはより先進的に、スポーティな面持ちへと進化しています。
3.ゼログランド ヒューズ オックスフォード
エレガントなウイングチップシューズのディテールを踏襲しつつ、ランニングスニーカー風の面持ちに仕上げた新鮮なアッパーデザインが目を引く1足。その軽さをブルー×ホワイトのカラーリングが強調しています。スニーカー感覚でスポーツMIXスタイルに取り入れるのもおすすめ!
3.ゼログランド チャッカ
アウトソールの近未来感とは対照的な、シックなブラウンレザーを使用したチャッカブーツもスタンバイ。ライニングには特殊なナイロン地を使用しており、レザーアッパーながら快適な通気性も叶えてくれています。場蹴ったレザーを採用し、より丸みのあるトゥでカジュアルに仕上げたタイプもあるので、そちらはお好みで。
コールハーンの歴史
1928年、アメリカのシカゴでシューズメーカー「コールハーン」が設立される。創業者はトラフトン・コール氏とエディ・ハーン氏。
1982年に小売部門を設立し、世界中にショップをオープン。
1988年、スポーツブランド「ナイキ」の傘下に入り、トータルファッションブランドに。
2012年、ナイキがコールハーンを売却。
2013年、プライベート・エクイティ・ファンドの「エイパックス・パートナーズ」がコールハーンの買収に合意。